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相続時に必要な遺言書を紛失したらどうなる?3つの遺言書の対処法を解説

相続時に必要な遺言書を紛失したらどうなる?3つの遺言書の対処法を解説

この記事のハイライト
●自筆証書遺言を紛失しないためには自筆証書遺言書保管制度を利用すると良い
●公正証書遺言を紛失しても公証役場にて保管されているため新たに書き直す必要はない
●秘密証書遺言を紛失した場合は新たに遺言書を作成する必要がある

相続発生時に必要となる遺言書を何らかの理由で紛失してしまった場合、どう対応すれば良いのでしょうか。
紛失した場合の対処法は、遺言書の方式によって異なってきます。
そこで、自筆証書遺言書を紛失した場合、公正証書遺言書を紛失した場合、秘密証書遺言書を紛失した場合それぞれの対処法について解説します。
神戸市北区、須磨区で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。

相続時に必要な「自筆証書遺言書」を紛失した場合の対処法

相続時に必要な「自筆証書遺言書」を紛失した場合の対処法

近年は、相続人がトラブルにならないように、事前に遺言書を作成する方が増えてきています。
一方で、作成した遺言書を紛失したといったケースも少なくありません。
遺言書の1つ目の種類「自筆証書遺言」は、遺言書が自ら自筆で遺言書を作成する形式です。
ここでは、自筆証書遺言書を紛失してしまったらどうなるのか、対処法とともに解説します。

紛失したら遺言書を書いてない状態と同じになる

自筆証書遺言書を紛失してしまった場合は、原則として、遺言書を書いていない状態と同じになります。
ちなみに、遺言書を作成したあとにコピーとして控えを取っている場合でも、コピーには遺言書としての効力はありません。
なぜなら、自筆証書遺言は、あくまでも自筆で作成したものに限られるためです。
そのため、コピーが見つかった場合でも、原本がなければ遺言書はないと判断されてしまいます。

遺言書を新たに書き直す際のリスク

自筆証書遺言を紛失したら、書いていない状態とみなされるため、新たに再作成することになります。
作成すること自体は何の問題もありません。
しかし、再作成したあとに、最初に作成した遺言書が出てきた場合は注意が必要です。
遺言書は基本的に日付が新しいほうが優先されますが、新しい遺言書に記載されていない箇所は、古い遺言書の効力が残ってしまうためです。
つまり、そのときの気分や思いで遺言書を書き直してしまうと、その後に最初に作成した遺言書が見つかると、思い描いていたものとは異なる相続になってしまう可能性があります。
そのため、新たに遺言書を作成する際は、最初に書いた遺言書が見つかる可能性があることを踏まえたうえで、遺言書を作成するようにしましょう。

自筆証書遺言書保管制度を利用した場合は紛失の心配がない

自筆証書遺言書は、以前は遺言者が自ら自筆し保管しておく必要がありました。
そのため、紛失や隠蔽、偽造などのリスクが懸念されていました。
しかし、2020年(令和2年)に、法務局が代わって保管する制度ができたため、遺言者が自ら管理する必要がなくなったのです。
つまり、この制度を利用すれば紛失の心配がなくなるなど、偽造や変造などの防止ができるメリットがあります。

相続時に必要な「公正証書遺言書」を紛失した場合の対処法

相続時に必要な「公正証書遺言書」を紛失した場合の対処法

遺言書の2つ目の種類「公正証書遺言」は、遺言者に代わって公証人が遺言書を作成する形式です。
公正証書遺言は、遺言内容を公証人が遺言者に代わって作成するため、字が書けない場合でも利用できるメリットがあります。
ここでは、公正証書遺言を紛失してしまったらどうなるのか、対処法とともに解説します。

紛失しても遺言書を新たに書き直す必要はない

公正証書遺言を紛失した場合は、とくに新たに書き直す必要はありません。
なぜなら、公正証書遺言は、公証役場にて原本が保管されているためです。
公正証書遺言は、原本を含めて正本・謄本と3部で作成されます。
そのため、遺言者に交付される正本や謄本を紛失したとしても、遺言に影響を及ぼすことはないでしょう。

再度謄本を取得することも可能

公正証書遺言を作成した際に遺言者に渡される正本や謄本を紛失してしまった場合は、「謄本」のみ再発行することが可能です。
正本の再発行は特別な事由がない限り認められないため注意しましょう。
再発行する際は、公証役場に出向き手続きすれば再発行してもらえます。
なお、謄本の再発行は1ページにつき250円です。

作成した公証役場が不明な場合は検索できる

平成元年以降に作成された遺言書は、情報がすべてデータベース化されています。
そのため、作成した公正役場が不明な場合は、公証役場の遺言検索システムから遺言書の有無を確認することが可能です。
また、遺言書の有無だけでなく、どこに保管されているのか検索することもできます。
なお、遺言の検索は無料でおこなうことができるため、公正証書遺言の正本や謄本を紛失した場合は確認してみると良いでしょう。

相続時に必要な「秘密証書遺言書」を紛失した場合の対処法

相続時に必要な「秘密証書遺言書」を紛失した場合の対処法

遺言書の3つ目の種類「秘密証書遺言」は、遺言内容は秘密にしておきたいが、遺言書の存在のみ認識させておきたい場合に有効な遺言形式です。
遺言内容をあらかじめ明かす必要がなく、かつ遺言書の存在が明らかであるため、発見されないリスクを防止できます。
ここでは、秘密証書遺言を紛失してしまったらどうなるのか、対処法とともに解説します。

紛失したら再度遺言書の作成が必要

秘密証書遺言を紛失した場合は、新たに遺言書の作成が必要になります。
秘密証書遺言は、公証人があくまでも遺言書の存在を証明するだけであり、原本は保管されません。
また、自筆証書遺言と違って公的な保管制度もないため、秘密証書遺言は自らしっかりと保管しておく必要があります。
そのため、紛失した場合は新たに遺言書を作成しなければなりません。

最初の遺言書が出てきたら効力はどうなる?

新しく遺言書を作成したにもかかわらず、あとから最初に作成した遺言書が発見された場合どうなるのでしょうか。
紛失してしまったと思っていた遺言書が出てきた場合は、新旧の遺言の効力の関係に注意しなければなりません。
これは、自筆証書遺言でもご説明しましたが、原則として新しい遺言書の内容が優先されます。
しかし、最初に作成した遺言書と抵触していない部分については、最初の遺言書の効力が認められてしまいます。
たとえば、最初の遺言書には「不動産は長男に相続させる」と記載していたが、新しい遺言書には「不動産は次男に相続させる」と記載していたと仮定しましょう。
この場合、同じ不動産について記載しているため、この場合は新しい遺言書が効力をもちます。
一方で、最初の遺言書には「Aの不動産は長男に相続させる」と記載しており、新しい遺言書には「Bの不動産は次男に相続させる」と記載したとしましょう。
この場合は、それぞれ別の不動産について指定しているため、最初の遺言内容についても効力が認められるわけです。
このように、紛失によって新たに遺言書を作成した場合は、新旧と比較する必要があり、かつ曖昧な部分があるとトラブルになる可能性が高くなります。
そのため、新しく作成する場合は、トラブル防止のためにも弁護士などの専門家に依頼して相談しながら進めることをおすすめします。

まとめ

相続時に必要な遺言書を紛失した場合は、遺言書の形式によって対処法が異なります。
公正証書遺言であれば、原本が公証役場に保管されているため、紛失した場合でもとくに問題はないでしょう。
一方で、自筆証書遺言や秘密証書遺言を紛失した場合は、再度遺言書の作成が必要になりますが、古い遺言書が出てくるケースも想定して作成することをおすすめします。
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