相続時精算課税制度とは?制度の内容や税金の計算方法などを解説
- この記事のハイライト
- ●贈与税を2,500万円まで非課税にできる制度を相続時精算課税制度という
- ●贈与額と遺産総額が基礎控除額を超えた場合は相続税が課される
- ●相続時精算課税制度は税金の先送りが目的であり節税になるとは限らない
子どもや孫が親および祖父母から贈与を受ける場合、相続時精算課税制度を利用できる可能性があります。
相続時精算課税制度とは、一定要件を満たすことで贈与税を最大2,500万円まで非課税にできる制度です。
そう聞くとお得な制度ですが、必ずしも節税に繋がるとは限らないため、事前に制度の内容や注意点を理解しておきましょう。
この記事では、相続時精算課税制度の概要や贈与税の計算方法、注意点などを解説します。
神戸市北区、須磨区で相続のご予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
相続時精算課税制度とはどのような制度?
まずは、相続時精算課税制度の仕組みや適用対象者など、概要から解説します。
相続時精算課税制度の仕組み
相続時精算課税制度とは、子どもや孫が親および祖父母から贈与を受けた際に、贈与税を2,500万円まで非課税にできる制度です。
2,500万円を超える金額の贈与を受けた場合は、超えた部分に対して一律20%の贈与税が課税されます。
そう聞くとお得な制度に感じますが、非課税になった分は相続時に加算する必要があるため、直接節税になるわけではありません。
たとえば、父の財産3,000万円のうち、800万円を息子に生前贈与した場合、この制度を利用すれば800万円も非課税になります。
ただし父が亡くなり相続が発生した時は、生前に贈与された800万円も遺産に含めた上で相続税を計算しなければなりません。
つまりこのケースでは、残りの2,200万円と過去に贈与された800万円を足した3,000万円に対して、相続税がかかります。
相続時精算課税制度は、課税を先送りにして相続時に加算する制度であり、税金を免除するわけではないと覚えておきましょう。
相続時精算課税制度の適用対象者
相続時精算課税制度は誰でも利用できるわけではなく、贈与者と受贈者のそれぞれが条件を満たす必要があります。
贈与者には、贈与をした年の1月1日において60歳以上の父母または祖父母であることが条件として定められています。
一方で受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において18歳以上の者のうち、贈与者の直系卑属(子や孫)でなければなりません。
制度を利用する場合の手続き方法
相続時精算課税制度を適用するには、手続きが必要です。
贈与を受けた年の翌年の2月1日から3月15日までの間に、以下の書類を提出しましょう。
- ●贈与税の申告書(第一表・第二表)
- ●相続時精算課税選択届出書
- ●受贈者の戸籍謄本または戸籍抄本
- ●受贈者の戸籍の附票
- ●贈与者の住民票又は戸籍の附票
これらの書類は、贈与を受けた方の住所地を管轄する税務署に提出します。
申告書は税務署で直接取得するほか、国税庁のホームページからもダウンロードが可能です。
申請方法としては、書類を窓口もしくは郵送で送る方法と国税庁のWebシステム(e-Tax)による電子申告があります。
仕事が忙しいなど平日に時間を取って税務署へ出向くのが難しいという方には、電子申告がおすすめです。
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相続時精算課税制度における税金の計算方法とは
続いて、相続時精算課税制度を適用した時の贈与税と相続税の計算方法を解説します。
贈与税の計算方法
相続時精算課税制度を利用すると、贈与税が2,500万円まで非課税になると先述しました。
2,500万円を超えた部分に関しては一律20%の贈与税がかかるので、以下の計算式で税額を求めましょう。
贈与税=(贈与財産の総額-2,500万円)×20%
贈与した財産の総額が3,000万円の場合、贈与税は「(3,000万円-2,500万円)×20%=100万円」です。
相続税の計算方法
相続税には基礎控除が設けられており、その控除額を超えなければ相続税は課税されません。
控除額は法定相続人の数によって変動し、人数が多くなるほど控除額も高くなるのが特徴です。
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
たとえば法定相続人が5人いる場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×5人)=6,000万円」です。
この場合、先送りしていた贈与税の金額と財産総額の合計が6,000万円以下であれば、贈与税はかかりません。
相続税のシミュレーション
法定相続人は受贈者のみ、2,000万円の生前贈与を受け取っており、相続発生により2,500万円の遺産を引き継ぐとしましょう。
この場合、基礎控除額は「3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円」で、課税対象は贈与分と相続財産を合計した4,500万円です。
次に、相続税の課税対象から基礎控除額を差し引き、実際に課税される金額を求めます。
4,500万円から基礎控除額の3,600万円を差し引くと900万円となり、以下に当てはまる税率をかけます。
- ●1,000万円以下:税率 10%・控除額 なし
- ●1,000万円超え3,000万円以下:税率 15%・控除額 50万円
- ●3,000万円超え5,000万円以下:税率 20%・控除額 200万円
- ●5,000万円超え1億円以下:税率 30%・控除額 700万円
- ●1億円超え2億円以下:税率 40%・控除額 1,700万円
今回のケースは「取得金額が1,000万円以下」に該当するため、相続税は「900万円×10%=90万円」です。
2億円から6億円超えの税率と控除額に関しては、国税庁のホームページをご確認ください。
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相続時精算課税制度を適用する際の注意点とは
相続時精算課税制度を利用したからといって、必ずしも節税になるとは限りません。
相続発生時に後悔しないためにも、あらかじめ注意点を確認しておきましょう。
相続時精算課税制度は税金の先送りが目的
相続時精算課税制度は、あくまでも「税金の先送り」が目的です。
贈与者(贈与する側)が亡くなった際は、贈与額も含めて相続税を計算するため、支払う税金が減るわけではありません。
状況によっては節税になることもありますが、全員があてはまるわけではないことを理解しておきましょう。
節税目的で相続時精算課税制度を利用したい場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
亡くなる直前に贈与しない
贈与を受けた日から7年以内に贈与者が亡くなってしまった場合、生前贈与加算の対象となる可能性があります。
生前贈与加算とは、相続開始前7年以内に被相続人から贈与を受けていた場合に、贈与額を加算して相続税を計算する制度です。
たとえば贈与者が2024年1月1日に亡くなった場合、その7年前である2017年1月1日から死亡日までの間に行われた贈与が生前贈与加算の対象となります。
生前贈与加算のリスクを回避するには、死期が迫ってから財産を贈与するのではなく、元気なうちから計画的に進めることが大切です。
相続税の物納には利用できない
納税方法の1つに、現金の代わりに相続した物(土地や建物など)で税金を収める「物納」があります。
相続した財産の額よりも相続税のほうが高く、税金が支払えないという場合に活用されますが、相続時精算課税制度で贈与された財産は物納ができません。
物納は相続税を納付する際に用いられるものであり、贈与についても物納を認めるとおかしなことになるためです。
相続時精算課税制度の利用を検討される場合は、相続税の納税方法についてもしっかり考えた上で慎重に判断しましょう。
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まとめ
相続時精算課税制度は一見するとお得に感じますが、あくまでも「税金の先送り」が目的です。
必ずしも節税になるとは限らず、また贈与された財産は物納には利用できないため、相続税のことも考えたうえで利用を検討しましょう。
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