不動産の売却における「譲渡損失」とは?対策と確定申告について解説
- この記事のハイライト
- ●不動産の譲渡損失とは売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いて生じた損失のこと
- ●住宅ローンの返済期間が10年を超える場合は特例により損益通算や繰越控除が可能
- ●譲渡損失の特例を利用するためには確定申告が必要
不動産を売却してまとまったお金を受け取っても、かならずしも利益が残るとは限りません。
売却代金からさまざまな経費を差し引くと、譲渡損失が生じることがありますが、その場合は特例を利用することで節税できる場合があります。
そこで今回は、不動産の売却における譲渡損失とはなにか、譲渡損失が生じた場合に利用できる特例や、確定申告について解説します。
神戸市北区、須磨区で不動産の売却をご検討中の方は、ぜひ参考にしてみてください。
不動産の売却における「譲渡損失」とは
まずは、譲渡損失とはなにかといった基礎知識から解説します。
譲渡損失とは
不動産の譲渡損失とは、土地や建物を売却した際に生じる損失のことで、売却損ともいいます。
反対に、不動産を売却して利益を得た場合は、譲渡所得または売却益といいます。
譲渡損失が生じたかどうかは、以下の計算式で確認可能です。
不動産の売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費とは、不動産の購入代金と購入時に支払った費用の合計です。
譲渡費用とは、不動産を売却するためにかかった費用で、仲介手数料や測量費などが含まれます。
上記の式で計算した結果残ったお金が、譲渡所得です。
ゼロ以下になった場合は、譲渡損失が生じたことになります。
譲渡損失が生じた場合は税金を軽減できる
不動産を売却して利益を得た場合は、その金額に対して所得税と住民税が課されます。
譲渡損失が生じた場合は、譲渡所得に対する所得税と住民税は課されません。
その場合、確定申告をすることで、ほかの所得にかかる税金から控除を受けられる軽減措置が設けられています。
どのような制度なのかについては、次章で具体的に解説します。
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不動産の売却で譲渡損失が生じたときに利用できる特例
不動産を売却して譲渡損失が生じた場合、以下の特例が適用される場合があります。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例
この特例が適用されると、節税できる可能性があるため、特例の概要や条件などについて、ぜひ理解を深めて活用しましょう。
特例の概要
住宅ローンが残っているマイホームを売却した際に生じた譲渡損失に対して、損益通算および繰越控除ができる特例です。
新たなマイホームを取得しない場合であっても、利用できます。
損益通算とは
そもそも、不動産の譲渡所得は、給与所得などとは切り離して税金を計算する分離課税です。
給与所得に課される税金は、会社が給与から天引きして預かり、納税者本人に代わって納付する源泉徴収という仕組みになっています。
したがって、個人が税金を納付する必要はありません。
しかし、不動産の売却で得た所得に課される税金は、会社とは無関係であるため、個人で確定申告をする必要があります。
このときに、不動産の売却で生じた譲渡損失を申告すると、すでに会社が申告した給与所得から、損失分を差し引いて所得が計算されます。
つまり、課税対象となる所得が減るということです。
その結果、源泉徴収によって納めすぎていた税金が戻ってきます。
この手続きを損益通算といいます。
繰越控除とは
損益通算によってほかの所得から譲渡損失を差し引いても、控除しきれないこともあります。
まだ譲渡損失が残った場合は、翌年以降の所得から差し引くことが可能です。
これを繰越控除といいます。
ただし、繰越控除ができるのは、最大3年間です。
3年後にまだ控除しきれない譲渡損失が残っていたとしても、繰り越すことはできません。
特例の条件
- ●マイホームもしくは住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに譲渡すること
- ●譲渡した年の1月1日時点に所有期間が5年を超えていること
- ●マイホームの売買契約日の前日において10年以上の住宅ローンの残高があること
- ●親族以外への譲渡であること
- ●マイホームの譲渡価額が住宅ローンの残高を下回っていること
これらの条件を満たせば、特例が適用されます。
特例を受けるうえでの注意点
所得の合計金額が3,000万円以上の場合、その年のみ繰越控除を受けることができません。
また、マイホームを売却した年の前年および前々年に、「3,000万円の特別控除」や「長期譲渡所得の軽減税率の特例」といったほかの特例を適用している場合も対象外です。
このように、不動産の売却で譲渡損失が生じた場合、条件を満たせば、税金を抑えることができます。
条件の詳細は国税庁のホームページで確認できるため、ぜひチェックして活用しましょう。
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不動産売却の譲渡損失で特例を受ける場合は確定申告が必要
不動産を売却して譲渡損失が生じた場合に、ほかの所得から損失を差し引いて税金を抑えられることを前章で解説しましたが、特例を受ける場合は確定申告が必要です。
そこで最後に、特例を受けるための確定申告の流れや必要書類、時期について解説します。
確定申告の流れ
確定申告の大まかな流れは、以下のとおりです。
- ●ステップ1:必要書類を揃える
- ●ステップ2:確定申告書を作成する
- ●ステップ3:税務署に申告する
- ●ステップ4:還付金を受け取る
確定申告をおこなうためには、まず必要書類を揃え、確定申告書を作成しなければなりません。
確定申告書は手書きで作成できますが、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、手順に沿って必要事項を入力すれば確定申告書が完成するためおすすめです。
必要書類が揃ったら、居住地を管轄する税務署で確定申告します。
郵送や、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用して、オンラインでデータを送付することも可能です。
過払いの税金があることが認められれば、確定申告の際に指定した口座に、還付金が振り込まれます。
確定申告に必要な書類
損益通算および繰越控除を受ける場合は、以下のような書類が必要です。
- ●確定申告書
- ●登記簿謄本(全部事項証明書)
- ●不動産売買契約書の写し
- ●譲渡損失の金額の明細書
- ●譲渡損失の損益通算および繰越控除の対象となる金額の計算書
- ●住宅ローンの残高証明書
不動産売買契約書や登記簿謄本(全部事項証明書)は、所有期間が5年を超えることを証明するために必要です。
また、住宅ローンの残高証明書は、売買契約日の前日のものを取得してください。
確定申告の時期
譲渡損失の損益通算および繰越控除の特例を利用するためには、不動産を売却した翌年に確定申告をおこないます。
2年目以降の繰越控除についても、その年に手続きする必要があります。
確定申告の期間は、毎年2月16日~3月15日です。
ただし、土日と重なる場合は、開始日や最終日が変更になることがあります。
提出する前に国税庁ホームページで確認し、申告期限に遅れないように注意しましょう。
なお、確定申告の時期には、多くの自治体が相談窓口を設置します。
確定申告の経験がなく不安な方は、相談窓口を利用するのがおすすめです。
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まとめ
不動産を売却して譲渡損失が生じた場合、譲渡所得に課される所得税や住民税は発生しません。
しかし、損益通算や繰越控除を利用すれば、ほかの所得から損失を差し引いて税金を抑えることが可能です。
そのためには確定申告が必要であるため、特例の条件を満たす場合は、忘れずに申告の手続きをして節税しましょう。
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