不動産売却における「反復継続」とは?違反時の罰則や対策について解説の画像

不動産売却における「反復継続」とは?違反時の罰則や対策について解説

不動産売却における「反復継続」とは?違反時の罰則や対策について解説

この記事のハイライト
●不動産売却における「反復継続」とは一定の頻度や継続性をもって不動産の売買をおこなうこと
●反復継続性のある取引は専門の免許が必要となり、無免許でおこなった場合、懲役や罰金などの罰則が科される
●違反を避ける対策は「不動産会社に仲介を依頼」「1回の売却で済ます」「転売を避ける」の3つ

もし複数の不動産を相続したが利用予定がない場合、まとめて売却する選択肢も考えられます。
ただし、同時に複数の不動産を売却すると、宅地建物取引業の免許が必要な「反復継続性のある取引」とみなされることがあるため、注意が必要です。
今回は「反復継続」とはなにか、違反した場合の罰則や対策について解説します。
神戸市北区、須磨区で不動産売却を検討中の方は、ぜひ参考にご覧ください。

不動産売却時に注意!反復継続性のある取引とは?

不動産売却時に注意!反復継続性のある取引とは?

不動産取引業を営むためには、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づく免許が必要となります。
個人の住み替えなどで不動産を売却する場合、基本的に免許は不要です。
しかし「反復継続性のある取引」と判断されると、無免許での営業行為とみなされる可能性があります。
不動産売却における「反復継続」とは、一定の頻度や継続性をもって不動産の売買をおこなうことを指します。

反復継続の判断基準とは?

では、何回売買すれば「反復継続」と判断されるのでしょうか?
実は、明確な回数の基準はありません。
単純に売買の回数だけでなく、その取引に事業としての特徴が見られるかどうかを、行政が個別に判断します。

「反復継続」と判断されやすいケースについて

主に以下の3つのケースが挙げられます。
利益目的での不動産売買
単なる住み替えや資金調達ではなく、儲けを得るために不動産を売買している場合は要注意です。
たとえば、競売で安く購入した物件をリフォームして高く売却するといった行為が該当します。
継続的な不動産取引
1回限りの売買ではなく、複数回にわたって不動産の売買をおこなっている場合も「反復継続」と判断されやすくなります。
また、1つの土地を分割して複数の区画として売却するような場合も注意が必要です。
仲介の不動産会社を通さない直接販売
不動産会社などの仲介業者を介さずに、ご自身で買主を探して直接売却をおこなう場合も「反復継続」と判断されるリスクが高くなります。
これらのケースに当てはまる場合、行政から事業として不動産取引をおこなっていると判断される可能性が高くなります。

▼この記事も読まれています
不動産は売却前にインスペクションを実施するべき?メリットや費用も解説!

不動産売却時に反復継続性があるとみなされた場合の罰則とは?

不動産売却時に反復継続性があるとみなされた場合の罰則とは?

宅地建物取引業法では、専門の免許なしで不動産取引業を営むことを禁止しています。
「反復継続」と判断された場合、宅地建物取引業法に規定された罰則が科される可能性があります。
罰則の内容は、以下のとおりです。

個人に対する罰則の内容

個人が反復継続的に不動産売却をおこなって法律違反と判断された場合、以下のような厳しい罰則が科される可能性があります。

  • ●3年以下の懲役
  • ●300万円以下の罰金
  • ●悪質な場合は、懲役と罰金の両方

上記は、宅地建物取引業法の第79条第2号に定められており、この法律のなかでも重い罰則となっています。
不動産取引は個人の財産に大きく関わる重要な行為です。
そのため、専門知識や倫理観を持たない方が無秩序に取引をおこなうことによって社会に悪影響が出ることを防ぐ目的があります。

法人に対する罰則の内容

個人だけでなく、会社などの法人も以下のような「反復継続」と判断される不動産取引に関わると、厳しい罰則の対象となる可能性があります。

  • ●無許可での繰り返し不動産取引を仲介した場合
  • ●不動産取引を目的とした会社を設立した場合
  • ●節税目的で法人化し、不動産取引をおこなった場合(専門の免許がない場合)

法人が反復継続性のある取引をおこなって法律違反と判断された場合、以下のように個人よりも重い罰則が設けられています。

  • ●最大1億円以下の罰金
  • ●1年以内の業務停止処分
  • ●免許取消処分の可能性

法人は個人よりも大規模な取引をおこなう可能性が高く、社会への影響も大きいため、より厳しい罰則が設けられているのです。
また、無免許で不動産売買のビジネスをおこなっている個人を手助けした不動産会社は、刑法の「幇助罪」(他人の犯罪行為を助けること)に問われる可能性があります。
不動産会社はもちろん、不動産取引に関わるすべての法人は、適切な免許を取得することが重要です。
節税目的での法人化を考える場合も、不動産取引に関する法律を十分に理解しておく必要があります。
法人として不動産取引をおこなう場合は、不動産会社のアドバイスを受けることが賢明です。

▼この記事も読まれています
ローン残債があっても不動産売却はできる?売却方法と注意点を解説

「反復継続」を避けるための不動産売却時の対策とは?

「反復継続」を避けるための不動産売却時の対策とは?

では、複数回の不動産売却を考えている方が「反復継続」と判断されるリスクを減らすにはどうすればよいでしょうか?
対策方法は、以下の3つです。

①不動産会社への仲介を依頼

もっとも効果的な対策の1つは、不動産会社に仲介を依頼することです。
仲介を依頼するのには、以下のようなメリットがあります。
事業性の低下
自分で買主を探すのではなく、プロの不動産会社に任せることによって、不動産売却の行為が事業として見られるリスクが低くなります。
専門家のアドバイスが得られる
「反復継続」の判断基準は明確な数字で決まっているわけではありません。
自分で判断するのは難しいため、専門家である不動産会社に相談するのが賢明です。
とくに、複数回の不動産売却を考えている方は、不動産会社に仲介を依頼することをおすすめします。

②不動産売却を1回で済ませる

「反復継続」のリスクを減らすもう1つの方法として、不動産の売却を1回で済ませることが挙げられます。
国土交通省の見解によると、1回限りの取引は事業性が低いとされているため、複数回の取引に比べて「反復継続」と判断されるリスクが低くなります。
ただし「1回の取引なら絶対に大丈夫」というわけではありません。
1回の取引でも、複数の買主に販売する場合は「反復継続」とみなされる可能性があります。
たとえば、1つの土地を分割して複数の方に売却するケースです。
国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」では、複数の買主への販売は「反復継続的な取引」に該当すると明記されています。
「反復継続」と判断されるリスクを減らすには、不動産会社に一括で売却するのも1つの手です。
複数の不動産を売却したいときは、土地や建物を分割せずに、不動産会社に一括で買い取るよう交渉してみましょう。

③不動産の転売を避ける

「反復継続」と判断されるリスクを減らすためには、不動産の転売を避けることも重要です。
不動産の転売は、不動産取引のなかでもとくに事業性が高いと見なされやすい取引です。
そのため、転売をおこなうと「反復継続性のある取引」と判断されるリスクが高くなります。
ここで言う転売とは、購入した不動産を短期間で再び売却することを指します。
以下のような場合は、とくに注意が必要です。

  • ●購入してからあまり時間が経っていない不動産を売却する場合
  • ●投資目的で不動産を購入し、値上がりしたタイミングで売却する場合

上記の場合、売主に転売の意図がなくても、外部からは転売と判断される可能性があります。
たとえば、予期せぬ事情で購入直後に売却せざるを得なくなった場合でも、転売と見なされるリスクがあります。
対策として、やむを得ず短期間で売却する場合は、その理由を明確に説明できるようにしておきましょう。

▼この記事も読まれています
不動産売却時の媒介契約とは?種類ごとのメリットや注意点を解説!

まとめ

不動産売却における「反復継続」とは、一定の頻度や継続性をもって不動産の売買をおこなうことです。
反復継続性のある取引は宅地建物取引業の免許が必要となり、無免許でおこなった場合、懲役や罰金などの罰則が科されます。
違反を避けるには、不動産会社に仲介を依頼する、1回の売却で済ます、転売を避けるなどの対策が挙げられます。
神戸市の不動産売却ならツナグ不動産がサポートいたします。
当社は税理士・司法書士との提携があり、相続不動産の手続きもサポートできます。
神戸市の不動産のことなら何でもお気軽にお問い合わせください。