負動産とは?相続後に処分する方法と相続放棄について解説
- この記事のハイライト
- ●負動産とは利益を生まず税金や手間・費用だけが発生する不動産のこと
- ●負動産には「売却する」「空き家バンクを利用する」「寄附する」の3つの処分方法がある
- ●負動産の所有を回避するための相続放棄は相続開始から3か月以内に手続きをおこなう必要がある
利用価値がなく、費用だけがかかる負動産を相続することになった場合、どうすれば良いのか悩んでいる方もおられるのではないでしょうか。
いわゆる「負動産」は、所有していることにデメリットが多いため、早めに対策を講じていく必要があります。
そこで、負動産とはなにか、処分する方法や負動産の所有を回避する方法(相続放棄)について解説します。
神戸市北区、須磨区で不動産を相続する予定がある方は、ぜひ参考になさってください。
相続前に知っておきたい「負動産」とは?
相続する不動産によっては、不要な土地や建物であるといったケースも珍しくありません。
このような不動産は、相続しても活用できず、維持費や税金だけがかかってしまうため、所有していてもメリットがありません。
ここでは、「負動産」とはなにか解説します。
負動産とは
負動産とは、価値や利益が得られず、所有しているだけでマイナスとなる不動産のことです。
かつては、安定した資産であったはずの不動産でも、負動産と呼ばれる物件が増えてきています。
負動産の例としては以下のようなものが挙げられます。
- ●親から相続した建物や農地
- ●空室が多い賃貸物件
- ●リゾート地の別荘やマンション
単身世帯や核家族の影響などで、親と離れて暮らすケースが増加しています。
そのため、親から家を相続しても、そのまま空き家として放置され、負動産となっていることも珍しくありません。
また、空室の多い賃貸物件なども、ローンを組んでいる場合は赤字経営となり、負動産化しているケースがあります。
負動産になる要因
相続などで親から不動産を引き継いだものの、うまく活用や処分ができず、負動産となっているケースは少なくありません。
不動産が「負動産」となる要因としては、以下のことがあります。
- ●固定資産税がかかる
- ●管理の手間がかかる
- ●損害賠償責任を負うリスクがある
不動産の所有者には、毎年固定資産税が課税されます。
田舎などの土地であれば、低く評価されるため固定資産税が安くなりますが、土地が広いとその分負担する額は大きくなってしまいます。
そのため、固定資産税の負担が大きく負動産となってしまうのです。
また、管理の手間や維持費がかかる点も負動産となる要因の1つです。
たとえ誰も住んでいない空き家であっても、所有者には不動産を適切に管理する義務があります。
たとえば、倒壊の危険性があるにもかかわらず、それを放置しておくと、通行人や周辺住民に被害を与えることになります。
そうなれば、損害賠償を請求されるリスクも生じるでしょう。
そのため、所有者は建物や土地をしっかりと管理し、危険な箇所がないか、あれば必要に応じて補修などをおこなう必要があります。
補修となれば高額な費用を要するため、活用予定がない空き家に高額な費用を支払うことになり負動産となってしまうのです。
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相続した負動産を処分する方法
では、このような負動産はどうしたら良いのでしょうか。
負動産は所有していてもメリットがないため、早めに対処法を検討することが大切です。
ここでは、負動産を処分する3つの方法について解説します。
処分方法①売却する
処分方法としてもっともおすすめなのが、売却することです。
物件の状態が比較的良い場合は、そのままの状態で売却するのがおすすめです。
そのままの状態であれば、リフォーム費用など余計なお金を支払うこともなく、相場に近い金額で売れる可能性もあるでしょう。
一方で、建物の状態が古い場合は、リフォームや解体といった対策が必要になることもあります。
リフォームをすれば、見た目の印象が良くなり、買主が現れやすくなるでしょう。
また、古い建物を解体すれば、新築を建てるための土地を探している方からの需要も見込めます。
ただし、いずれにせよ費用がかかるため、慎重に検討する必要があります。
処分方法②空き家バンクを利用する
通常での売却が難しい場合は、空き家バンクを利用するのもおすすめです。
空き家バンクとは、自治体やNPO法人が運営しており、売りたい・貸したい方と買いたい・借りたいという方を結びつけるサービスです。
空き家バンクは、基本的に移住希望者のみしか利用できないため、別の層の閲覧者が物件情報を見ることになります。
そのため、通常の不動産売却と同時に進めると、早期売却が期待できるかもしれません。
空き家バンクの登録は無料でおこなえるため、興味がある方は自治体に相談してみると良いでしょう。
処分方法③寄附する
負動産を売却できない場合や、手っ取り早く手放したいという場合は、自治体などへ寄附する選択肢もあります。
自治体に設けられた条件を満たすことで、無償で引き取ってもらえる場合があります。
ただし、実際には活用目的が明確でなければ受け付けてもらえないこともあるため注意が必要です。
自治体以外にも、個人へ寄付する方法もあります。
隣地所有者であれば、寄付に応じてもらえる可能性が高いでしょう。
隣地所有者であれば、土地が増えることで有効活用しやすくなるからです。
ただし、個人の寄付については、受け取る側に贈与税が発生するため注意しましょう。
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負動産は相続放棄で回避できる?
負動産を相続する前であれば、そもそも所有を回避する方法もあります。
ここでは、相続放棄について解説します。
相続放棄とは
相続放棄とは、不動産を含むすべての遺産を放棄することをいいます。
相続放棄すれば、初めから相続人ではなかったと見なされるため、相続税を支払う必要もありません。
つまり、不要な負動産があるのであれば、そもそも相続せずに相続放棄すれば良いのです。
ただし、注意しなければならない点は、現金や預貯金などすべての遺産も放棄しなければならないことです。
また、相続放棄したからといって、必ずしも管理責任が無くなるわけではありません。
仮に、相続人全員が相続放棄し不動産の所有者がいなくなると、不動産は国庫に入るため固定資産税などの支払い義務はなくなります。
しかし、建物の管理責任は残ります。
建物が倒壊しそうなら、補強工事をおこなわなければなりません。
それが難しい場合は、家庭裁判所に申立てをおこない、相続財産管理人を選任する必要があります。
相続放棄の手続き方法
相続放棄をおこなう場合は、相続が発生してから3か月以内に家庭裁判所にて手続きをします。
もし、3か月以内に手続きがおこなわれなかった場合は、相続財産をすべて相続したと判断され、相続放棄できなくなるため注意が必要です。
相続放棄する場合は、相続放棄申述書、被相続人の戸籍謄本・住民票、相続放棄する方の戸籍謄本が必要です。
また、このほかにも収入印紙や郵便切手が必要になります。
なお、相続放棄自体にかかる費用は数千円程度ですが、司法書士や弁護士に依頼すると報酬として数万円~数十万円かかります。
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まとめ
近年は、親から相続した家が空き家として放置され、負動産となっているケースは珍しくありません。
負動産を所有していても、税金や維持費、また管理する手間など多くのデメリットが生じるため、早めの売却や寄付などをおすすめします。
ただし、相続前であれば相続放棄することによって所有を回避できる可能性があるため、慎重に検討してみましょう。
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