不動産を共有相続するとどうなる?共有持分でできることやトラブル事例を解説

不動産を共有相続するとどうなる?共有持分でできることやトラブル事例を解説

この記事のハイライト
●不動産の共有相続とは1つの不動産を複数の相続人で取得することを指す
●共有名義の不動産は共有者全員の同意がないと売却や活用ができない
●将来子どもや孫に負担をかけないためにも不動産は共有せずに単独で相続するのが望ましい

不動産は現金や預貯金などのように、均等に分割するのが難しい財産です。
土地や建物を相続する際に、公平性を保つために共有相続を検討する方も多いのではないでしょうか。
しかし、不動産を共有で相続すると次の世代に負担をかける可能性があるため、望ましい方法とはいえません。
今回は不動産の共有相続について、共有持分でできることや考えられるトラブル事例を解説します。
神戸市北区や須磨区で不動産を相続するご予定のある方は、ぜひ参考になさってください。

将来起こり得るトラブルに要注意!相続における不動産の共有とは

将来起こり得るトラブルに要注意!相続における不動産の共有とは

そもそも不動産の相続は、人生でそう何度も経験するものではありません。
不動産を共有で相続するとはどのような状態なのか、よくわからないという方も多いでしょう。
はじめに、不動産の共有相続について解説します。

1つの不動産に複数の所有者がいること

不動産の共有相続とは、1つの不動産を複数の相続人で取得することです。
不動産の情報は、登記所(法務局)に備え付けられた公の帳簿「登記簿」に記載されます。
たとえば、長男が父から土地を引き継いだ場合、登記簿に記載される名義人は長男だけです。
長男と次男で共有相続した場合は、登記簿に長男と次男の氏名・住所・共有持分が記載されます。

共有持分とは?

先述したように、共有で不動産を相続すると、登記簿に「共有持分」も記載されます。
共有持分とは、複数の方が1つの不動産を共同で所有している場合、それぞれが所有する割合のことです。
持分割合は、民法で定められた法定相続分に従って決定しますが、遺産分割協議で決めることもできます。
法定相続分における共有持分の割合は、下記のように誰が相続人かによって異なります。

  • ●相続人が配偶者と子どもの場合:配偶者 2分の1・子ども 2分の1
  • ●相続人が配偶者と親の場合:配偶者 3分の2・親 3分の1
  • ●相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者 3分の4・兄弟姉妹 4分の1

遺産分割協議をおこなう際は、相続人全員が納得すれば割合を自由に決めることができます。
たとえば相続人が配偶者と子どもの場合でも、相続人全員の同意があれば子どもが多めに取得することも可能です。

共有で相続した不動産を売却するとどうなる?

共有名義で不動産を取得し、その後売却することもあるでしょう。
この場合、不動産の売却代金は持分割合に応じて受け取るのが原則です。
たとえば、2分の1ずつの持分割合で所有している土地を、4,000万円で売却したとします。
この場合、それぞれが受け取れる売却代金は「4,000万円×2分の1=2,000万円」です。
なお、共有名義の不動産を売却するには、共有者全員から同意を得なければなりません。
多数決ではないので、誰が1人でも売却に反対する方がいれば手続きが進められず、納得するまで話し合う必要があります。

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相続した不動産の共有持分でできることとは

相続した不動産の共有持分でできることとは

先述したように、共有名義の不動産を売却するには名義人全員の同意が必要です。
しかし保存行為のように、名義人からの合意なしの独断でできる行為もあります。
ここからは、共有持分でできる行為について解説します。

自己の共有持分のみでできる行為

他の名義人からの合意が要らず、共有者が単独でおこなえるのが「保存行為」です。
保存行為とは、共有する不動産の現状維持を目的としたもので、主に以下の行為が該当します。

  • ●現状維持のための修繕
  • ●共有不動産の相続登記
  • ●不法占拠している第三者に対する明渡請求
  • ●共有不動産の使用
  • ●共有持分のみの売却

ひび割れの修繕など現状維持のための工事であれば、原則として他の共有者の同意は必要ありません。
しかしトラブルを避けるためにも、修繕工事をする際は他の共有者にも相談しておくことをおすすめします。
相談なしに修繕工事をおこなうと、他の共有者から修繕費用の支払いを拒否される可能性があるためです。
また不動産を売却する際はほかの共有者の同意が必要ですが、持分のみであれば自由に売却することができます。

過半数の共有持分でできる行為

共有持分の過半数でおこなえるのが「管理行為」です。
過半数の共有持分とは、人数ではなく持分の割合が過半数を占めることを指します。
たとえば5人中3人が合意していても、持分の合計が50%を超えなければ、管理行為はおこなえません。
管理行為に関しては、主に以下のような行為が該当します。

  • ●賃料の減額
  • ●短期間の賃貸借契約締結・解除
  • ●共有物の使用方法の決定
  • ●資産価値を高めるためのリフォーム

短期間であれば、共有者全員の同意がなくても賃貸物件として貸し出すことができます。
ここでいう短期間とは、土地が5年以内、建物は3年以内を指し、この期間を超す場合は共有者全員の同意が必要です。

共有者全員の同意がないとできない行為

共有者全員の同意がないとおこなえないのが「処分行為」や「変更行為」です。
たとえば次のような行為は、処分行為および変更行為に該当します。

  • ●売却や贈与
  • ●抵当権の設定
  • ●解体や増改築
  • ●長期間の賃貸借契約

上記のような行為は不動産に物理的な変化を及ぼすため、実施するには共有者全員の同意が必要です。
また、大規模な修繕や土地の分筆・合筆についても、共有者全員から同意を得ないと実施できません。
しかし軽微な変更については、令和3年の法改正により、共有持分の過半数の同意でおこなえるようになりました。
たとえば、砂利道のアスファルト舗装や外壁の防水改修工事などが挙げられます。
大掛かりな工事であっても、軽微な変更に該当すれば管理行為として扱われるため、共有者全員の同意は必要ありません。

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相続不動産の共有で起こりうるトラブルとは

相続不動産の共有で起こりうるトラブルとは

冒頭でも触れたように、不動産の共有相続はトラブルに発展しやすく、あまり望ましい方法ではありません。
ここからは、共有相続においてよくあるトラブル事例を解説します。

共有者が多すぎて意見がまとまらない

共有名義の不動産を売却や長期間賃貸したい場合、共有者全員の同意が必要です。
全員が賛成すれば良いのですが、なかには意見が割れることもあるでしょう。
共有者が多ければ多いほど意見の対立が起きやすく、処分や活用ができずに放置される可能性が高まります。
とくに近年は、相続登記の未了等により共有者が多数となる「メガ共有」が社会問題となっているため注意が必要です。
不動産がメガ共有状態に陥ると、売却する際に共有者全員の氏名や住所などを特定しなければならず、大きな手間がかかります。
次の世代に負担をかけないためにも、不動産はできるだけ共有で相続せず、ほかの分割方法を検討することをおすすめします。

共有名義の解消に時間がかかる

「なるべく公平に」と一旦共有名義にし、活用が難しいことから共有状態の解消を検討される方も少なくありません。
共有名義を解消するには、共有者全員で第三者に売却したり分筆してそれぞれの単独名義にしたりする方法があります。
いずれも共有者全員の同意が必要であり、話し合いで解決できない場合は「共有物分割請求訴訟」を検討する必要があります。
共有物分割請求とは、共有者の1人が他の所有者に対して共有状態を解消するよう請求する手続きです。
共有物分割請求訴訟では、裁判所が適切な分割方法を裁定するため、必ずしもご自身が望む結果になるとは限りません。

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まとめ

不動産の共有相続とは、1つの不動産を複数の相続人で取得することです。
持分割合は、法定相続分に応じて取得するのが基本ですが、遺産分割協議で決めることもできます。
共有名義の不動産は、共有者全員の同意がないと売却や活用ができず、放置されてしまうことも多いです。
子どもや孫など次の世代に迷惑をかけないためにも、なるべく不動産は共有で相続せず、別の方法を検討しましょう。
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