空き家を相続放棄したい!管理責任や手放すための方法などを解説

空き家を相続放棄したい!管理責任や手放すための方法などを解説

この記事のハイライト
●相続放棄をすると空き家だけでなくすべての財産を取得できなくなる点に注意が必要
●2023年4月に民法が改正されたことで相続放棄後の管理責任の負担は以前よりも軽減した
●相続放棄ができない場合は法人や自治体への寄附、第三者や隣地所有者への売却を検討する

活用しづらそうな家を相続するとなった場合、相続放棄を検討される方もいらっしゃるでしょう。
相続放棄をすれば空き家を取得せずに済みますが、デメリットもあるので慎重に判断する必要があります。
今回は相続放棄の概要や空き家の管理責任、相続放棄せずに空き家を手放す方法について解説します。
神戸市北区や須磨区で、空き家の相続を控えている方や相続放棄をご検討中の方は、ぜひご参考ください。

相続放棄とは?空き家のみを相続放棄できない点に注意

相続放棄とは?空き家のみを相続放棄できない点に注意

相続放棄にはメリットだけでなくデメリットもあります。
まずは相続放棄とは何か、注意点もあわせて解説します。

相続放棄とは

親が亡くなると、原則としてその子どもが財産を相続することになります。
相続の対象となるのはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も含まれます。
マイナスの財産とは、たとえば被相続人が滞納していた税金や借金、未払金などです。
プラスの財産よりもマイナスの財産が大きい場合、相続を放棄したいと思う方も多いでしょう。
相続放棄とは、これらの財産を一切引き継がず、はじめから相続人でないものとみなすことです。
遺産分割協議にも参加しないため、財産の取得を巡って他の相続人とトラブルになる心配もありません。

相続放棄の注意点

相続放棄の注意点は、空き家だけ相続放棄することができない点と、申請期限が受けられている点です。
相続放棄をすると、空き家だけでなく現金や預貯金、株式などプラスの財産も相続できなくなります。
特定の財産のみを相続放棄した、他の財産を取得することは認められません。
マイナスの財産よりもプラスの財産が多い場合や、取得したい財産がある場合は相続放棄をしても良いのか慎重に検討しましょう。
また相続放棄をする場合、相続の開始があったことを知ってから3か月以内に手続きをしなければなりません。
この期限を過ぎると、原則として相続放棄はできず、被相続人の財産をすべて相続することになります。
相続放棄をすると決めたら、必要書類を集め早めに申請をおこなうようにしましょう。

相続権は次の順位に移る

遺言書で指定がなければ、被相続人の財産は民法で定められた法定相続人が引き継ぐことになります。
しかし法定相続人であれば誰でも遺産を相続できるわけではなく、順位が定められています。
配偶者は常に相続人となり、第1順位が子(孫など直系卑属)、第2順位が親(祖父母など直系尊属)、第3順位は兄弟姉妹(甥・姪)です。
もし相続放棄が発生した場合、相続放棄をした方を除いた次順位の相続人に引き継がれます。
たとえば配偶者が相続放棄をすると、第一順位である子どもが遺産をすべて引き継ぐことになります。

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空き家の相続放棄をしても管理責任は残る?

空き家の相続放棄をしても管理責任は残る?

これまでは、空き家を相続放棄しても、次順位の相続人が遺産の管理を開始するまでの間、遺産の管理を継続する必要がありました。
しかし2023年4月1日の民法改正によって管理責任に関するルールが変更となり、不動産を相続放棄した場合の負担が軽減されています。
どのような点が変更となったかを把握するために、2023年4月1日以前とそれ以降の内容を比較してみましょう。

2023年4月1日以前の内容

民法改正前は、ご自身が把握していない土地や家にも管理責任が生じ、相続放棄をした方にとって負担の重い内容でした。
たとえば、子どもはすでに都心で家を購入しており、親が亡くなったことで地方の実家を相続するとしましょう。
この場合、子どもが相続放棄をしても、次順位の相続人が遺産の管理を開始するまでは遺産の管理を継続する必要がありました。
次順位に該当する方がいない場合は、相続財産管理人が選任されるか、引き継ぐ方が決まるまで家の管理を続けなくてはなりません。
相続財産管理人とは被相続人の財産を管理・清算する方のことで、選任するためには裁判所に申立てをするとともに予納金を納める必要があります。
相続財産管理人の申立てをしない場合は引き継ぐ方を探さなくてはなりませんが、相続放棄を考えるような物件なので、進んで取得したいと思う方は少ないでしょう。
このように旧法は、相続放棄をしたあとも管理の継続や予納金の支払いが必要となり、どちらにしても重い負担となっていました。

2023年4月1日以降の内容

2023年4月1日の民法改正で変更となった点はいくつかありますが、もっとも大きな変更点は管理責任の発生要件です。
新法では、相続放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときにのみ管理責任が発生します。
つまり、相続放棄の時点でその空き家に住んでいたり管理に関わっていたりしなければ、相続放棄をした方に管理責任は生じません。
また管理義務の期間についても、「他の相続人や相続財産清算人に財産を引き渡すまで」と明確に規定されました。
さらに新法では、管理義務が保存義務に変更され、保存行為の内容は明記されていないものの、管理よりも求められることが軽度になっています。

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相続放棄以外に空き家を手放す方法

相続放棄以外に空き家を手放す方法

遺産の内容や相続人の状況によっては、相続放棄が適切でないケースもあります。
最後に、相続放棄をせずに不要な空き家を手放す方法について確認しておきましょう。

空き家を売却する

空き家を手放す方法として、もっともおすすめなのが売却することです。
売却してしまえば、管理費用や税金の支払いが不要となり、金銭面の負担から解放されます。
状態が良ければ中古住宅として売り出し、築年数が古い場合は古屋付き土地として売却すると良いでしょう。
また解体費用の負担はあるものの、建物を解体して更地にしてから販売する方法もあります。
更地であれば新築予定の方からも検討してもらうことができ、土地もスッキリして見えるので早期売却が見込めます。
どの売却方法が適しているかは、周辺環境や不動産需要、立地などによっても異なるので、不動産会社と相談しながら決めるのがおすすめです。
市場で売り出してもなかなか買主が見つからない場合は、隣地の所有者に家を買い取ってくれないか交渉してみるのも良いでしょう。
隣地の所有者が敷地を広げたいと考えている場合、スムーズに交渉が進み、第三者に売るよりも早く手放せる可能性があります。

寄附をする

利益は得られませんが、法人や自治体などに空き家を寄付するという方法もあります。
寄附をすれば、管理費用や税金の支払いが不要になるだけでなく、地域活性化の貢献にも繋がります。
ただし相手が必ず引き受けてくれるとは限らず、利用価値の低い物件は断られる可能性が高いです。
たとえば大規模な修繕が必要なほど老朽化した空き家や、道路に面しておらず建築基準法違反となっている土地などです。
これらの物件は活用がしにくく、利用するにも多額の費用が必要となるため、寄附を断られる可能性があります。
とくに固定資産税は自治体の大事な収入源となるので、利用目的のない空き家の寄附は受けてくれません。
断られる可能もあるということを理解したうえで、お住まいの自治体や法人に交渉してみると良いでしょう。

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まとめ

相続放棄をするとはじめから相続人でないものとみなされ、空き家の取得を回避することが可能です。
しかし他の財産も取得できなくなるため、財産の内容によっては別の方法を検討したほうが良いこともあります。
相続した空き家を手放す方法としてもっともおすすめなのは売却ですが、自治体や法人へ寄附するという選択肢もあります。
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