不動産売却時に売主が負う「契約不適合責任」とは?インスペクションも解説

不動産売却時に売主が負う「契約不適合責任」とは?インスペクションも解説

この記事のハイライト
●契約不適合責任とは契約書に記載された内容と異なるものを引き渡した際に売主に生じる責任のこと
●契約不適合責任による買主の権利では追完請求や契約解除など5つの権利が認められている
●不動産売却前に建物の状態を調査するインスペクションを実施しておくことで買主とのトラブルを回避できる

不動産売却時に売主が注意すべきことは、引き渡し後に不具合や欠陥が発覚し、買主とトラブルに発展してしまうリスクです。
この場合、売主は「契約不適合責任」に問われる可能性があり、場合によっては契約解除や損害賠償を求められる可能性があります。
そこで、不動産売却するときの契約不適合責任はなにか、買主に認められている権利とインスペクションについて解説します。
神戸市北区、須磨区で不動産売却をご検討中の方は、ぜひ参考になさってください。

不動産売却前に知っておきたい「契約不適合責任」とは?

不動産売却前に知っておきたい「契約不適合責任」とは?

契約内容と異なる状態で不動産を引き渡してしまうと、あとから責任問題に発展してしまうことがあります。
ここでは、不動産売却時のリスクの1つ「契約不適合責任」について解説します。

契約不適合責任とは

不動産売却における契約不適合責任とは、売買契約の内容と違うものを買主に引き渡した際に、売主が問われる責任のことです。
たとえば、売買した建物あるいは土地に不具合があった場合などが該当します。
売主には、契約内容どおりに買主に引き渡す義務があるため、契約内容と異なる不具合や欠陥が発覚した場合は責任を負わなければなりません。
この契約不適合責任は、2020年4月の民法改正により、「瑕疵担保責任」から「契約不適合責任」に名称と内容が変更になりました。
民法改正は、売主にとってより厳しい内容に変更されています。

契約不適合責任でよくある事例

契約不適合責任でよくある事例の1つが「雨漏り」です。
雨漏りの事実があるにもかかわらず売買契約書に記載していない場合は、契約不適合責任に問われることがあります。
仮に雨漏りがあることを知っていた場合は、事前に修繕しておくか、もしくは買主に雨漏りがある事実を伝えておく必要があります。
また、伝えるだけでなく、売買契約書に記載しておくことも大切です。
契約不適合責任では、契約内容に記載があるかが大きなカギとなるため注意が必要です。
一方で、売主が不具合や欠陥を把握していないこともあるでしょう。
たとえば、相続などで引き継いだ家を売却したようなケースです。
売主がたとえ雨漏りなどの不具合を把握していなくても、契約不適合責任に問われる可能性があります。
契約不適合責任に問われないためには、相続した建物でも事前に状態を調査してから売却するのが望ましいといえるでしょう。
建物の事前調査方法については、後ほどご説明します。

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不動産売却の契約不適合責任における買主の権利

不動産売却の契約不適合責任における買主の権利

契約不適合責任では、契約内容と異なるものを引き渡した場合、買主は売主に対して5つの権利を主張することが認められています。
ここでは、買主に認められている5つの権利(追完請求・代金減額請求・催告解除・無催告解除・損害賠償請求)について解説します。

買主の権利①追完請求

1つ目に買主に認められている権利は、追完請求です。
追完請求とは、売買契約に定められた義務を果たしていない場合に、契約に適合するよう売主に補修や不足分の引き渡しを請求できる権利です。
つまり、契約内容と異なる不具合や欠陥を、契約内容に合うように補修し給付することを意味します。
前述しているように、契約不適合責任は、売買契約書に記載されているかどうかがポイントになります。
先ほどの雨漏りの例で言えば、雨漏りがあるにもかかわらず契約書に記載していなかった場合、引き渡し後に雨漏りが発覚した際に売主の責任で雨漏りを補修しなければなりません。
また、履行の追完の義務を負わないという特約が契約書に記載してあった場合でも、契約に不適合な事実を知りながら告げなかった場合は責任を負う必要があります。

買主の権利②代金減額請求

2つ目の買主の権利は、代金減額請求です。
代金減額請求とは、契約内容と異なる不具合が発覚した際に、売主に対して代金の減額請求をおこなえる権利のことです。
これは、前述した追完請求をおこなったにもかかわらず、期間内に履行の追完がない場合に、売却価格から一部の代金を減額することができます。
また、追完が不能な場合や追完を拒否した場合は、直ちに代金の減額請求をおこなうことができます。

買主の権利③催告解除

3つ目の買主の権利は、催告解除です。
売主に対して追完請求をおこなったものの、これに応じない場合に契約を解除できる権利のことです。
追完請求しても対処しない場合、代金減額請求のみでは納得できない場合もあるでしょう。
このような場合は、売主に購入をやめることを伝え、契約を取りやめることができます。
買主が催告解除すれば、売主は無条件に売却代金を返還しなければなりません。

買主の権利④無催告解除

4つ目に認められている買主の権利は、無催告解除です。
無催告解除は、催告解除とは異なり売主に催告することなく契約を解除できる権利のことです。
契約の全部の履行が不能である場合や、一部の履行が不能である場合、売主が履行を拒絶する意思を明確にした際に、催告なしで解除できます。

買主の権利⑤損害賠償請求

5つ目の権利は、損害賠償請求です。
売主が契約内容に適合したものを引き渡さなかったとき、補修の追完請求をおこなえたとしても、それによって補填できない損害が買主に生じている場合もあります。
このような場合は、追完請求をおこなったうえで、損害賠償も請求することができます。

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不動産売却前におこなうと良い?契約不適合責任が回避できる「インスペクション」とは?

不動産売却前におこなうと良い?契約不適合責任が回避できる「インスペクション」とは?

不動産売却時に契約不適合責任に問われないためには、事前に建物の状態を調査しておく方法が有効といえます。
ここでは、契約不適合責任に有効とされるインスペクションについて解説します。

インスペクションとは

インスペクションとは、中古住宅の建物の不具合や劣化、欠陥の有無などを調査することをいいます。
建物の構造や設備・配管の不具合、雨漏りなどを調査します。
売却前にインスペクションを実施することで、売主は事前に建物の状態を把握することが可能です。
仮に不具合が見つかれば、事前に補修などの対策もおこなえるでしょう。
また、補修費用がかけられない場合も、買主に説明したうえで売買契約書に記載しておけば、責任問題に発展することはありません。
一方で、不具合や欠陥が見つからなければ、その分売却時に安全で安心であることをアピールでき、高値売却も期待できます。

不動産売却では告知義務が生じる

不動産売却では、公平な取引をおこなうために、売主は買主に不具合や欠陥を伝える義務があります。
とくに、建物の不具合など物理的瑕疵については、インスペクションで把握するのがおすすめです。
インスペクションを事前におこなっておくことで、建物の状態を詳細に伝えることができるからです。
専門の講習を受けた建築士が調査するため、信頼度が高い調査といえるでしょう。

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まとめ

不動産売却では、契約内容と異なるものを引き渡すと、売主は契約不適合責任に問われる可能性があります。
契約不適合責任に問われれば、追完請求をおこなわれるだけでなく、契約解除や損害賠償を請求される可能性もあるでしょう。
これらのリスクを回避するためにも、売却前に建物の状態を把握できるインスペクションの実施を検討することをおすすめします。
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