事実婚で相続はできる?財産承継の税制上の懸念点についても解説

事実婚で相続はできる?財産承継の税制上の懸念点についても解説

この記事のハイライト
●事実婚の相手には法定相続権がないため財産を渡すには生前からの早めの対策や準備が必要となる
●相続権がなくても財産を遺す確実な方法として生前贈与と死亡保険金の活用と遺言書作成の3つがある
●事実婚の財産承継は配偶者控除が使えず税負担が重くなるため早めに専門家へ相談して計画を立てる

長年連れ添った事実婚のパートナーに、ご自宅などの不動産や財産を確実に残せるのか不安に感じていませんか。
法律婚とは異なり事実婚には法定相続権がないため、何も対策をせずに放置してしまうと、残されたパートナーが住まいを失うなどの深刻なトラブルに発展しかねません。
本記事では、事実婚における相続の基礎知識をはじめ、遺言や生前贈与を用いた具体的な財産の渡し方、注意すべき税制リスクとその対策について解説いたします。
大切なパートナーの今後の生活を守り、安心して不動産を承継するための準備を進めたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。

事実婚のお相手に法定相続権はあるのか

事実婚のお相手に法定相続権はあるのか

事実婚における財産承継の基本には、主に法定相続人の規定の理解があります。
まずは、事実婚のお相手の法的な立ち位置について、解説していきます。

民法上の法定相続人

民法では、故人の財産を受け継ぐ方を法定相続人と定め、不動産や預貯金も原則としてこの規定に沿って分けられます。
法律上の配偶者は常に相続人となり、子、親、兄弟姉妹が定められた順位に応じて加わる仕組みです。
ただし、配偶者に該当するのは婚姻届を提出した夫婦であり、長年同居していても事実婚のお相手は含まれません。
相続手続きでは戸籍をもとに権利関係を確認するため、生活実態だけで配偶者として扱ってもらうことは難しいでしょう。
そのため、財産を遺したい場合は、法律婚との違いを理解したうえで別の対策を準備する必要があります。

現行制度と過去の判例

現行制度では、事実婚のお相手に法定相続権がないため、対策がなければ不動産や預貯金は子や親、兄弟姉妹などへ承継されます。
たとえ購入資金を一緒に負担していても、登記名義がお相手のみなら、その方の相続財産として扱われます。
また、生前に内縁関係を解消した場合は財産分与が認められることがありますが、死亡による終了では同様に扱われにくいのが実情です。
相続人がいない場合には特別縁故者として財産分与を申し立てられる可能性もあります。
しかし、家庭裁判所の判断が必要で時間もかかるため、確実な方法として頼るのは避けたほうがよいでしょう。

問題となる事例と放置した際の注意点

対策をしないまま相続が発生すると、自宅の名義変更や預貯金の利用をめぐり、残されたお相手が困る可能性があります。
たとえば亡くなった方名義の家に住んでいた場合、その不動産を取得した法定相続人から退去や売却を求められることも考えられます。
また、法律上の配偶者を守る配偶者居住権は、事実婚のお相手には原則として適用されません。
金融機関が死亡を把握すると口座が凍結され、生活費や葬儀費用をすぐに引き出せない場合もあります。
そのため、住まいの名義や当面の生活資金を確認し、元気なうちから承継方法を整えておくことが大切です。

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相続権なしでも財産を渡す3つの方法

相続権なしでも財産を渡す3つの方法

前章では事実婚のお相手には法定相続権がないことについて述べましたが、それでも不動産などの財産を遺したいですよね。
ここでは、相続権がなくても、財産を残すための3つの方法について解説します。

生前贈与の手続きと税負担

生前贈与は、生きている間に財産を無償で渡す契約であり、事実婚のお相手にも利用できます。
不動産を贈与する場合は契約書を作成し、双方の署名押印によって対象物件や贈与の意思を明確にしておきましょう。
その後、法務局で所有権移転登記をおこなえば、名義変更を公的に記録します。
ただし、年間110万円を超える贈与には贈与税がかかる可能性があり、不動産では登録免許税や不動産取得税も発生します。
そのため、贈与する時期や持分を決める前に税額と諸費用を試算し、無理のない資金計画を立てることが重要です。

死亡保険金の受取人指定

死亡保険金は受取人固有の財産として扱われるため、遺産分割協議を待たずに請求でき、当面の生活費や住居費を確保できます。
保険会社によっては、互いに法律上の配偶者がいないことや同居実態などを確認したうえで、事実婚のお相手を受取人に指定できます。
また、預貯金が凍結された場合にも、保険金は生活を支える資金として役立つでしょう。
一方で、死亡保険金は相続税の計算上、みなし相続財産として扱われます。
事実婚のお相手は法定相続人向けの非課税枠を使えないため、契約前に受取条件と想定税額を確認しておくことが大切です。

遺言書の作成と遺留分対策

遺言書で遺贈の意思を示せば、法定相続人ではない事実婚のお相手にも、不動産や預貯金を渡すことができます。
自筆証書遺言は自分で作成できますが、形式不備や紛失を防ぐため、記載方法と保管場所に注意が必要です。
一方、公正証書遺言は公証人が作成に関わるため、無効となるリスクを抑えやすい方法です。
不動産は所在地や家屋番号まで特定し、遺言執行者も指定しておくと、名義変更を進めやすくなります。
ただし、子や親などの遺留分を侵害すると請求を受ける可能性があるため、現金や生命保険も組み合わせて配分を調整しましょう。

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事実婚の財産承継にかかる税制上の懸念点と注意点

事実婚の財産承継にかかる税制上の懸念点と注意点

ここまで財産を遺すための具体的な方法を解説しましたが、承継時の税制面での懸念点もおさえておきましょう。
最後に、事実婚ならではの税負担と、節税対策について解説していきます。

相続税の2割加算の仕組み

事実婚のお相手が遺贈や死亡保険金で財産を受け取ると、相続税が課される場合があります。
とくに注意したいのが相続税額の2割加算で、配偶者や1親等の血族以外が取得した財産には、算出税額の20%が上乗せされます。
事実婚のお相手は生活上の夫婦であっても法律上の配偶者ではないため、この対象です。
また、基礎控除は法定相続人の数に応じて増えますが、事実婚のお相手は人数に含められません。
そのため、不動産の評価額が高い場合は税額を試算し、納税に充てる現金も準備しておく必要があります。

配偶者控除不可と代替策

法律上の配偶者には、法定相続分か1億6000万円のいずれか大きい額まで相続税を軽減できる配偶者の税額軽減があります。
しかし、事実婚のお相手は戸籍上の配偶者ではないため、この制度を利用できません。
また、婚姻期間20年以上の夫婦が居住用不動産などを贈与する際の贈与税の配偶者控除も対象外です。
そこで、毎年110万円の基礎控除を意識し、現金や不動産の持分を計画的に贈与する方法が考えられます。
ただし、贈与の方法や時期によって税負担が変わるため、税理士へ相談しながら承継計画を整えましょう。

不動産評価額を下げる対策

不動産の相続税額には評価方法が大きく影響しますが、事実婚のお相手は小規模宅地等の特例を原則として利用できません。
この特例は一定の自宅敷地などの評価額を最大80%減額できる制度で、対象者には配偶者や一定の親族などの条件があります。
そのため、適用を前提にせず、実際の評価額と納税資金を確認しておく必要があります。
また、土地を賃貸住宅の敷地として活用すると、貸家建付地として評価が下がる場合もあるため注意が必要です。
不動産を売却して現金化したり生命保険へ組み替えたりする方法も含め、税理士や司法書士と早めに検討しましょう。

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まとめ

事実婚のお相手には民法上の法定相続権がないため、生前に対策をしておかなければ不動産や預貯金を原則として相続できず、残された方の生活に大きな支障をきたします。
事実婚によって法定相続権がない場合でも、生前贈与の活用や死亡保険金の受取人指定、遺言書の作成という3つの方法を準備しておけば、お相手へ財産を遺すことができます。
事実婚での財産承継は相続税の2割加算や各種控除の対象外となるなど税負担が重くなりやすいため、早めに専門家へ相談して状況に合った適切な計画を立てておくべきでしょう。
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